カテゴリー: 体臭研究

  • 40代 ― 手放したものと、取り戻したもの

    40代。
    私は離婚をした。

    子どもがいなかったこと。
    そして、お互いの愛情がなくなっていたこと。

    別れを切り出したのは、彼の方だった。
    きっと、彼女でもできたのだろう。

    内心、ホッとした気持ちがあったのも事実だ。

    ⸻

    彼は、これから若い女性と一緒になれば
    子どもを授かることもできるかもしれない。

    私は、結婚生活には向いていなかったのだと思う。

    そうして、
    一人暮らしを始めた。

    ⸻

    当時接客業をしていた私は、
    やはりワキガのことが常に気になっていた。

    離婚の際、
    慰謝料を少しだけ受け取った。

    これまでの人生の大半を
    ワキガの悩みに費やしてきた私は、
    このお金を使って
    手術を受けることを決めた。

    クリニックに行き、
    説明を受け、
    手術をすることを選んだ。

    ⸻

    日帰り手術だった。

    術後は一週間安静とのことで、
    事前に食料をしこたま買い込み、
    自宅で静かに過ごした。

    手術後、
    脇からは何も臭いがしなくなった。

    「何も臭わない」
    それが、こんなにも素晴らしいことなんだと知った。

    嬉しかった。
    本当に、やってよかったと思った。

    その嬉しさを噛みしめながら過ごした、40代だった。

    ⸻

    だがしかし、
    50代に差し掛かる頃、
    「え?」と思う出来事が起こることになる。

    つづく

  • 30代 ― 結婚と、消えなかった葛藤

    30代。

    どうにか、こんな私でも結婚することができた。

    当時の彼とは、5年間付き合って結婚した。

    彼に、私がワキガであることを

    一度も話したことはない。

    彼が気づいていたのか、

    それとも知らないままだったのか。

    本人に確かめたことはないから、今もわからない。

    彼を騙したつもりはない。

    でも、本当のことを言わなくてもいいのだろうか。

    その問いが、

    いつも心の中にあった。

    誰にも言えず、

    一人で葛藤していた。

    子どもも欲しかった。

    だけど、遺伝する可能性を考えると、

    欲しい気持ちと、欲しくない気持ちが同時にあった。

    親からの

    「まだ孫はできないの?」

    という言葉も、

    静かなプレッシャーとしてのしかかっていた。

    私は、どうやら

    妊娠しにくい体質のようだった。

    体外受精も、数回試した。

    お金はかかるし、

    体も心も消耗する。

    そこまでして、

    本当に子どもを持つ必要があるのだろうか。

    自分は何を望んでいるのか。

    どこまで頑張るべきなのか。

    答えの出ない問いを抱えたまま、

    私は常に悩んでいた。

    私は、本当に彼が好きで結婚したのだろうか。

    それとも、

    「結婚しなければいけない」

    そんな時代の空気に流されただけだったのだろうか。

    答えは出ないまま、

    心の中は、ずっとモヤモヤしていた。

    体のこと。

    ワキガのことを考えると、

    毎日、何をしていても

    その不安から逃れることはできなかった。

    本当につらかった。

    つづく

  • 毎日、周りに気を遣いながら生きている50代の私

    私は、毎日「周りに気を遣いながら」生きている。
    50代の女性だ。

    周りに気を遣うとは、どういうことか。

    ズバリ言うと――
    体臭だ。

    ⸻

    10代の頃、
    歯の奥が膿んでしまい、
    実は蓄膿症になっていた。

    でも当時の私は、
    それを親に相談することができなかった。

    「臭っていたらどうしよう」
    そんな不安を抱えたまま、
    誰にも言えず、生きてきた。

    臭いが気になり、
    常に周囲を意識しながら生活していた。

    ⸻

    20代になってから、
    鼻の中の臭いは強くなり、
    頭も重く感じるようになった。

    もう限界だった。

    ようやく親に打ち明け、
    近所の耳鼻咽喉科を受診すると、
    すぐに「手術ができる病院」の紹介状を渡された。

    そのまま病院へ行き、
    手術を受けることになった。

    もし、このまま放置していたら
    私はどうなっていたのだろう。

    そう考えるだけで、
    今でも恐ろしくなる。

    ⸻

    それと並行して、
    10代の頃から ワキガ にも悩まされていた。

    そこから、
    私の「人に気を遣い続ける人生」は始まった。

    つづく